本日の聖ラフォーレ病院だより 『皆さんこんにちは。管制室よりお送りしております<本日の聖ラフォーレ病院だより>です。 それでは本日の聖ラフォーレ病院まで、10000.9999.9998.9997……え?あ、はい。わかりました。5.4.3.2.1スタート!!』 「焼売が食べたいのだぁ〜〜〜〜〜〜!」   ミヒャエル・シューミャイヤーの声が響き渡る。 「さっき食べたばかりだよ?そんなに食べたらおなか壊すって。」   新田がちょっと呆れながらシューマイをなだめる。が、シューマイはそんな事を気にしないでもう一度叫んだ。 「焼売ィィィィ!!!!!!」 「あぁもう……」   小さな溜め息をついて新田がソファに腰掛ける。そこへ君島がやって来た。 「まったく、何だ?シューマイの声が院内に響き渡ってるぞ?」   常日頃自分のボイスウェポンで窓を割っている人が言うセリフではないだろう。 しかし君島は気にしない(気付いていない?)ようで、新田の隣のソファに腰をおろした。 「シューマイ君が、焼売が食べたいって駄々こねるんですよ。」   疲れたような新田のセリフに、君島は目を丸くした。 「あんなに食べて、まだ足りないのか!?」 「そうらしいです……。」 「焼売が食べたいのだぁ!」   子供のようにジタバタと手足を振って駄々をこねるシューマイに二人は溜め息をつく。 昼御飯の時にシューマイが食べた焼売の数は、24個入りの箱を3つ。つまり24×3で72個も焼売を食べているのだ。 「腹壊すぞ。」 「別にいいのだ!焼売が食べられるなら腹痛で死んでもホンモウなのだ!!」 「意味わかって言ってるのかなぁ…?」   シューマイの暴走は止まらない。   そして5時間後。そこには昼間騒いでいたソファの上に寝転がって、腹痛で唸っているシューマイの姿があった。 「お腹がいたいのだ……。」 「自業自得だ。」   そんなシューマイを君島が呆れた目で見る。一応注意はしておいたのだから、こんな結果になっても仕方ないだろう。 「食べ過ぎたのだぁ……。」 「そうだな。」   今、この部屋に居るのはシューマイと君島だけである。 先程までは沢登やブラディも居たのだが、患者の病状を見にいってしまった。 「…苦しいのだ。」 「当たり前だ。」 「お腹がいたいのだ。どうにかして欲しいのだ。」   縋るような目でシューマイが見てくる。君島は小さく溜め息をついた。 「あのなぁ、『焼売が食べられるなら腹痛で死んでもホンモウなのだ!!』とか言ってたのはどこのどいつだ?」   ソファに寝転がって体を丸めているシューマイに君島が言うと、シューマイは目を潤ませた。 「どこのどいつ?どいつ……ドイツ……」   その一瞬で、シューマイの頭の中には故郷の風景が浮かんでいた。 勿論そんな事は君島は気付いていない。 ただ、唸り声が無くなった事に安堵していた。   暫くの沈黙の後、シューマイは寝転がっている状態からむくっと起き上がり、大声量で泣き出した。 「うわぁぁぁん!!!」 「うわっ!!」   突然の泣き声に君島は驚いて耳を塞ぐ。 「ママぁ、パパぁ……!!会いたいのだぁ!!」 「何なんだよ…。」   そう言えば、こんなセリフをどこかで聞いた気がする。 そんな事を頭の片隅で考えながら、君島は目の前の子供をどうしたら良い物か考えていた。 「ぅぅ……ひっく………ぁぅぅう……」 「あー……よしよし、泣くなよ。」   とりあえず、あやしてみる。 「ひぅ…ママぁ……パパぁ……」   全然効果なし。それどころか一層涙の量が増えた。   子供の事なら沢登だが、先程も言った通り沢登は今ここにいないし、つい先程出て行ったばかりだから暫くは帰ってこないだろう。 「ほら、泣くなよ。男だろ?」   使い古されたような言葉だが、こういう立場に立たされると予想以上に浮かんでくる言葉は少ない物だ。 「でも、でもぉ……会いたいのだっ…」 「……わかった。泣け。」 「…へ?」   泣けと言われるのは予想していなかったらしく、シューマイは一瞬キョトンとした顔をした。 「泣いたらすっきりするだろうが。」 「そうなのか?」 「そういうもんだ。」   実際、涙には乾燥した目に水分を与える他に、涙からストレス物質を外へ出す効果がある。 泣いたあとにすっきりすると言うのは精神的な部分もさる事ながら、実際にストレスが減ってすっきりするのだ。 「そうか!ではいっぱい泣いてみるのだ!!」   君島の言葉に、シューマイはにっこりと笑ってそう言った。 「……あれ?」   しかし、一向に泣かない。シューマイは首を傾げて、顔をしかめた。 「……あれ?何だかすっきりしてるのだ。」   どうやら泣けないらしい。暫く沈黙した後に、あっけらかんとした表情でそう言った。 「……そりゃ、あれだけ泣いてりゃすっきりするだろ。」   溜め息混じりにそう呟く。 「本当に、泣いたらすっきりしたのだ!ありがとうなのだっ!!」   元気にそう言って立ち上がるシューマイ。だが、すぐさまソファに座ってしまう。 「どうかしたのか?」 「お腹痛いのが戻ってきてしまったのだ…。」   泣いていて忘れていたのを、思い出したのだろうか? お腹を抱えて体を丸めるシューマイを見て、君島が再び溜め息をつく。 「仕方ない奴だな。」 「うぅ…」 「究スペシャル……いっとくか?」 「頼むのだ…」   そう言うシューマイに耳栓を手渡し、きちんと耳栓をつけた事を確認してから君島は大きく息を吸い込んだ。   「痛いの痛いの、飛んでいけぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」   ふぅ。と何だか晴れ晴れしい顔をして、君島はシューマイを見た。 「どうだ?」 「凄いのだ……本当に痛いのが消えているのだ!!」   耳栓を取ってシューマイが感動したようにそう言う。 「ありがとうなのだ!!助かったのだ!!」 「そ、そうか?」 「初めて究スペシャルを体験したのだ。何だか嬉しいのだ。」   嬉しそうにそう言って、シューマイは立ち上がる。 「あ、そうだ。お礼といってはなんだが、今日は我がおごってやるのだ!!」 「突然、偉そうな口調だな。」 「よーし!!そうと決まったら早速出発なのだ!!」 「え?あ、おい!仕事終わってないだろ!?」   一人で走っていってしまったシューマイを追うように君島が部屋を後にする。 『えー、本日も聖ラフォーレ病院は平和のようですね…。 それでは次回の<本日の聖ラフォーレ病院だより>でお会いしましょう。』 ---------------------------------------------------------------------
相方の天地冥華さんからのいただきモノ♪
シューマイくんがあああ〜〜〜!!!食べ過ぎ!!!(>ω<)
シューマイくんの胃袋は底が知れませんね♪
小ネタ満載♪
確か2巻でものすごい量を食べていたような…!!!
君島先生、ボイスウェポン発動なのだ〜〜〜♪♪♪
きっとまたガラスが割れたのだ!!!
パリーン★★★
おうちに帰りたいのだ!!!
パパとママがどんな人かとっても気になるのだ〜〜〜〜!!!